ブラック企業に就職した父が600万の借金を背負わされた話 前編
この話の続き
上の記事にあるように、私が高校生になった直後に実家の製麺所が廃業
母は早々に近所の役場の掃除の仕事をみつけ、正社員ではないし、時給も安いものの、フルタイムで安定した仕事に就いた
父は面接を3つぐらいは受けたかもしれないが、私が高校生の3年間ずっと無職であった
私は進学を断念し、就職
その後に父は土産物セールスの仕事に就いた
父の仕事は、道の駅などに自社の饅頭やらキーホルダーやらを卸す、営業職であった
中身に反して割りと見た目がよく、軽薄ながら口の上手い父は売上の成績がよかったらしく、自慢がウザかった
実態は、
本社は遠方にあり、父のいる営業所は父を入れて二人、ブラックなので人がよく辞めるため、すぐ父が所長になったということで、営業に向いている人間だとは思うが父は別にすごくない
父は無職のときもパチンコをする浪費家であり、家の金を持ち出して逃げることも度々あるクズなため、母は全財産の入った通帳、印鑑、カード類は肌身離さず持ち歩いていた
父の給料も父には一切管理させず、全ての家計費は父の給料からのみ賄い、母の給料は全て貯金に回していたので、私はそこそこ安心していた
ただ父は高頻度で母に小遣いをせびり、母も普通に五千円、一万円をほいほい渡していた
母が弁当を作っているため食事代ではない
その上、営業先から支払いを待ってほしいと言われたという名目で会社への立替金を五万、八万と要求する
立て替えること自体問題だが、父の嘘であった場合もかなり高額な父のお小遣いになるし、実際立て替えていたとして父にお金が返ってきても、母のところには返ってこないという最悪のパターン
借用書などを書いていないため踏み倒されているパターンもあり
父は平気で家族には暴力を振るうのと、全ては父の給料の範囲で賄えているということで、容認するのも仕方ない
しかし母は父にどれだけの金を渡したのかの記録を一切つけていないのだ
私も何度か注意したが、現在も改善はみられない
父は基本的に痛い目に合わないのである
数年経ち、私も結婚が決まり、いろいろと忙しいころだった
母から、父が会社の不良在庫(賞味期限切れや返品)を大量に持ち帰り、もともと製麺所にしていた工場や蔵の中にどんどん溜め込んでいると聞いた
年単位で徐々に増えていたものが、現在かなりの量になっているらしい
私にはどうしようもないので、ゴミに出せばぐらいしか言えない
それから結婚式も済み、私の妊娠も発覚、おめでたムードになるかと思いきや、父が失踪した
実は父は、売ることができないまま賞味期限が切れた商品や、返品された商品を会社に報告することができず(怒られるのがイヤだから)、ちょっと立て替えたり、ごまかして家に持ち帰っていたのだが、膨れ上がった数字がごまかせなくなり、会社に追及されての失踪であった
営業所に自殺をほのめかすようなメモが残されていたらしい
母は仕事の休みや仕事が終わったあとの時間を利用し、あてもなく父を探すなど無駄なことをしていたので、とりあえず警察に失踪届けを出すように言い、
父と同じ営業所の人に電話して、状況を聞いてみたりした
営業所の人は大変いい人で、父に騙されているのか、私に気を遣っているのか、
責任感のある立派な人だからこんなことになるまで、耐えていたんだと思う
などと、父を褒める感じなので、全力で否定したかったが、面倒になるので、なんとなく否定しておいた
責任感のある人間なら、こんな事態にならぬわ
今までの父の失踪は、母の留守中にこっそり帰って食事や入浴をしていたのだが、今回は家に帰った形跡がないまま一週間が経過したため、父の死をちょっと期待した
絶対自殺できないタイプだけど、間違えて死んじゃうこともあるかなーと
母はまだあてもなく父を探していたようだが、結局警察が見つけた
距離的にはそこまで離れていない隣の県の海辺に失踪届けのでているナンバーの車があり、声をかけたら父だと認めたとのこと
父曰く携帯電話は死のうと思って海に入ったときに壊れたとのこと、
ポケットに携帯をいれたままじゃぶじゃぶ海に入って、腰ぐらいまで浸かってから、引き返す父の姿が目に浮かんだ
私が衝撃だったのは、釣り人にカモフラージュするために失踪後に釣り道具一式をわざわざ購入していたこと
ただでさえ手持ちの金が少ない中で、どのくらいの期間失踪するのかも未定、カモフラージュするにしてもスーツじゃんとかツッコミが追い付かない
というか凄まじく浅はかな発想力、父の迸る異常性を私は釣り道具購入に感じました
借金の話までなかなかいかないものですね
次に続きます